【人事学望見】第1190回 企業秘密保持と労働者 労働契約上付随する義務に相当
2019.04.11
【労働新聞】
秘密防止義務とは、労働者がその職務中知り得た秘密を他に漏洩してはならない義務のこと。正当な保護に値する秘密とは、少なくとも①企業が秘密として管理・取扱いをしている②秘密としての重要性・価値がある③公然化されていない――の要件を満たすことが必要という。
懲戒解雇もやむを得ない
業務上重要な長期経営計画の基本方針を、他に漏らした労働者に対する懲戒解雇処分が争われた古河鉱業足尾製作所事件(東京高判昭55・2・18)は、企業秘密漏洩事案における代表的判例といわれている。秘密保持義務に関し、判決は「労働者は労働契約に基づく付随的義務として、信義則上、使用者の利益をことさら害するような行為を避けるべき義務を負うが、その一つとして使用者の業務上の秘密を洩らさないと解され、この義務は労働者すべてにある」とした。
事件のあらまし
原告A、Bは削岩機を製造するY会社の行員で共産党員。Y会社は、経営再建のため3カ年計画を立案する過程で、3年後の業務状態を具体的数字で表した文書を作成し、極秘取扱いとしていた。…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
平成31年4月15日第3205号12面 掲載