【実践!働き方改革に伴う諸規定整備】第15回 同一労働同一賃金指針① 「不合理」の基準示す 規定で評価項目明確化を/岩﨑 仁弥
説明不足も判断に影響
前号で改正短時間・有期雇用労働法第14条2項の事業主の説明義務を解説した。
当該説明は必ずしもパート・有期雇用労働者が納得することまでは要求していないが、十分な説明をしなかったと認められる場合は、どうなるかが通達で示されている。すなわち「十分な説明ができなかった」という事実も、均衡考慮判断にかかる「その他の事情」に含まれ、不合理性を基礎付ける事情として考慮され得ると考えられる(平31・1・30基発0130第1号)とされているため、正規・非正規間で処遇に相違を設けるためには、不合理と判断されないようしっかりと説明できるようにしておく必要がある。
もっとも、早いのは正規・非正規の区分をなくすことなのだろうが、非正規には正規とは異なる役割を認め、そこで区分を設けている場合もあるだろう。改正法も区分を設けること自体は禁止していない。区分に応じた相違が不合理なものであってはならないとするだけである。さりとてどのような相違が不合理であって、あるいは不合理でないのかその基準は気にかかるところである。そこで、国が一定の基準を定めたものが同一労働同一賃金指針(『短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針』2018・12・28)である。
この指針は、2016年12月20日に公表された同一労働同一賃金ガイドライン案を大臣告示にしたものであるが、より踏み込んだ内容になっている箇所があるため、先にそれを紹介する。…
筆者:㈱リーガル・ステーション 代表取締役 岩﨑 仁弥(特定社会保険労務士)
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