【人事学望見】第1193回 予告義務違反どう問われる 即時解雇固執せねば30日後有効
2019.05.09
【労働新聞】
使用者の一方的な意思表示による解雇は、法令によって制限されている。大別すると、①解雇権濫用の禁止②解雇予告の義務付け③一定の状況に置かれた労働者に対する解雇の禁止④差別的理由等の特定の理由による解雇の禁止、などがある((独)労働政策研究・研究機構)。
カギにぎる使用者の行動
労基法20条では、「使用者は解雇に際し30日前に予告するか平均賃金30日分に相当する解雇予告手当」の支払いを義務付けている。これを無視して予告期間を置かず、予告手当も支払わなかった使用者が、法廷闘争の途中予告手当の支払いを履行した。さてこの解雇は有効か否かで最高裁が判断したのが細谷服装事件(最二小判昭35・3・11)である。
事件のあらまし
Aは、洋服の製造・修理を行うY社に雇用されていたが、昭和24年8月、Y社はAに対して一方的に解雇を通知した。このとき、Y社は労基法20条で義務付けられている予告期間を置かず、予告手当も支払わなかった。
そこで、Aは、8月分の未払い賃金と退職金の支払いを求めて提訴したところ一審の口頭弁論終結日である同26年3月19日に、未払い賃金と予告手当が、Y社からAに支払われた。肝心の裁判では、…
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令和元年5月13日第3208号12面 掲載