【人事学望見】第1195回 試用契約の趣旨生かせ 不適格性があれば躊躇せず解雇
2019.05.23
【労働新聞】
試用期間とは、労働者を実際に職務に就かせてみて採用面接等では知ることができなかった業務適格性等をより正確に判断して本採用契約に結び付けようとする試み。不適格者を容易に排除することに趣旨・目的があるから通常の解雇よりも広い範囲で解雇の自由があるという。
試し運転と割り切るべき
この解雇の自由に基づき、業務不適格性を理由とする普通解雇を有効としたのはブレーンベース事件(東京地判平13・12・25)である。
事件のあらまし
医療材料・機器の製造販売を営むY社は、Aの採用に際し、パソコンに精通しているなどといったAの発言および職務経歴に照らし、Aがパソコン操作および営業活動の経験と能力を有すると判断し、入社後3カ月間は試用期間であることを条件に、平成11年1月6日、Aと雇用契約を締結した。
Aの業務は、上司Zの補助として行う商品発送やパソコンのファックスモデムを使用しての商品発表会の開催案内の送信などだった。Aは、緊急を要する商品の発注に対し、他の作業を止めずZから商品を届けるように依頼された後30分程度経ってから事務所を出発するなどの態度を取ることが3回程度あり、また、パソコンの使用経験者にとって困難でないはずの開催案内の送信も満足に行えなかった。さらに…
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令和元年5月27日第3210号11面 掲載