【裁判例が語る安全衛生最新事情】第321回 九州建設アスベスト事件② 建材メーカーの共同不法行為責任を否定 福岡地裁平成26年11月7日判決
2019.05.27
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
本件は、建築物の新築、改修、解体作業などに従事した作業員またはその相続人である原告ら51人が、その現場で使用された石綿含有建材から発生した石綿粉じんをばく露したことによって石綿関連疾患(石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚)にり患したとして被告国と被告建材メーカー企業43社を訴えた事件である。
被告国に対しては、前回①(第320回)で紹介したが、石綿含有建材についての規制権限を有していたとして、規制権限を行使しなかったことをもって、国家賠償法1条1項の責任を求めた。
被告企業に対しては、石綿含有建材を製造販売していたことが石綿ばく露の原因であったとして民法719条1項前段または後段の共同不法行為の規定により、または石綿含有建材を製造販売していた企業に対しては製造物責任法3条による損害賠償責任を追及した。
今回は、被告企業に対する責任について紹介する。…
執筆:弁護士 外井 浩志
この記事の全文は、安全スタッフの定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
2019年6月1日第2331号 掲載