【ぶれい考】労働法の未来/鎌田 耕一
2012.12.03
【労働新聞】
ドイツの哲学者ヘーゲルの言葉に、ミネルバの梟は黄昏時に飛ぶ、というのがある。その意味は諸説あるが、私は、歴史的な転換はそれが形成過程を完了した後にはじめて認識できる、と理解している。この言葉を思い起こすのは、労働法が現在歴史的転換点に立っていると思うからである。
労働者の保護を目的とした法律の最初は、1802年のイギリスの工場法といわれているが、労働法が他の法分野と区別された独自の体系となるのは、20世紀に入ってからである。その過程は、一言でいえば、労働者または労働契約概念が生成発展する過程といってよい。
今から考えると不思議なことだが、労働法成立以前には、働いて生活する人は必ずしも近代的な意味での従属的労働者とは限らなかった。…
筆者:東洋大学 法学部教授 鎌田 耕一
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平成24年12月3日第2899号5面 掲載