【人事学望見】第848回 見離されて合同労組に駆け込む 今や紛争の7割もユニオン絡み
中央労働委員会の「平成22年労使紛争まとめ」によると、集団的労使紛争の新規係属件数は、566件だった。このうち、地域単位で企業の枠を越えて労働者を組織する「合同労組事件」の占める割合は、69.8%に上り、過去最高を記録している。
形式上では非常識を問う
合同労組が絡んでいる紛争で特徴的なのは、懲戒や解雇などの処分を受けた労働者が、その後に合同労組に加入し、労働委員会に調整の申請を行う、いわゆる「駆け込み訴え事件」が当該割合の過半数に達していることだ(36.8%)。
山本商事は、社員総数18人で4人の役員を除いた14人のうち4人が管理職という構成だった。管理職といっても「名ばかり店長」問題と同様に、労働基準法第41条第2項に規定する管理監督者ではなく、良くいえば年功による登用といえるが、実態は勤続を重ねて課長になった連中だった。
わずかな役職手当で残業代の支払い対象から除外される「被害者」だが、今回、社内を混乱の極みに追い込んでいるのは彼らではない。
勤続わずか3年という横井忠夫が、その当事者である。山本社長をはじめ役員連中とすれ違ってもあいさつもしない。同僚にいわせると、威張ってばかりで実績の上がらない役員だが、大人なら、頭くらいは下げて当然なのが一般常識だろう。
だが、横井は悪意はまったくないのだが、この一般常識に気付かなかった。で、山本社長の逆鱗に触れ、「解雇」処分となってしまった。…
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