【人事学望見】第849回 出産休業について考えてみる 産前は本人の請求、産後は矯正
労働基準法第65条には、産前産後の休業が規定されており、産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)、産後8週間とその期間を決めている。産前は本人の請求によるが、産後の場合は強制休業。ただし、本人が就業を請求し、医師が支障がないと認めた場合は短縮できる。
手当金より給与を目当に
「三宅君は大きなおなかをして頑張っているが、大丈夫なの?」
横川商事で貿易事務を一手にこなしている三宅洋子は、出産予定日の3週間前なのに、仕事に精を出している。大きくなるおなかをみながら、心配そうに同僚の永井和子に尋ねたのは、海外事業部担当課長の佐伯である。永井は共働きで子供2人を保育園、小学校に通わせているベテラン主婦だから、その経験を買って佐伯は質問したというわけだ。
「産前休業の6週間は、本人の請求が前提になっていますから、課長が心配することはないですよ」
「でもなあ、彼女は初めてお子さんを授かるんだから、法定どおりの休業を取得して欲しいよ」
「私も出産予定日の2週間前まで頑張って出社しましたが、それで支障が生じたことはありませんでした…。ご本人が一番承知していますから、安心して任せるしかないですよ」
「貿易事務で彼女の果たす役割は大きいが、だからといって余人をもって代え難いというわけではなく、彼女の休業期間中は私なり、原田係長など経験者で代替できる。責任感でぎりぎりまで働いているのかどうか、それとなく君の方から聞いてみてくれないか?」
課長の心配を笑い飛ばしながら、お安い御用と承知した。…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら