【人事学望見】第852回 予告手当の支払いに関する問題 少なくとも解雇時期と合わせて
労働基準法第20条第1項には、使用者が労働者を解雇しようとする場合には、少なくとも30日前に予告するか、予告をしない使用者は30日分以上の平均賃金を支払わなければならないとし、第2項は1日につき平均賃金を支払った場合はその日数を短縮できると規定している。
労基法上の効力だけだが
「解雇予告手当を支払えば、いつでも労働者を解雇できるという考えの者がいますが、予告手当はあくまでも労働基準法上の手続きであって、労働契約法第16条にうたうように、解雇は合理的理由を欠き、社会通念上相当性がないとして、民事の争いになると、解雇権濫用法理の適用があります」
内山商事では、勤続8年も経ちながらいっこうに成績が上がらず、勤怠状況も芳しくない、営業2課の早川の扱いについて上司も仲間も日常的に頭を悩まされていた。
「そんならいっそ解雇して、新天地で働いてもらった方が本人のためにもなるだろう。解雇手続きを進めるのもやむを得ない、と誰しも納得しているようだから、早くケリをつけなさい」
冒頭のセリフは、内山社長の示達について、小森人事課長の説明だった。
「屁理屈はどうでもいい。とにかくまず行動を起こさないと、早川は定年まであの調子で居続けるぞ」
煮え切らない小森に社長は、叱りつけるような言葉を投げかけた。
課長以上が出席して開かれた幹部会では、早川の行状を良く知っていたから、解雇自体には異論の声はでなかった。…
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