【人事学望見】第854回 団体交渉のルールを考えてみる 労使が合意した人数での話合い
労働組合法では、労組結成に際し自由設立主義の立場を取っていることから、許可や届け出を要することなく自由に設立できる。ただ、同法2条では、労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる結成目的としている。
大衆団交は拒否しても可
「主体となってというのは、構成員の大部分が労働者であり、かつ主要な地位を占めていることだ。使用者のコントロール下に服してはならない。自主性を失っている労組は、御用組合と呼ばれており、いくら労使協調路線とはいっても、自分たちは矜持を持って主張せよということだな」
今年初めて団体交渉に臨む山口に対して、奥本執行委員長が心構えを示していた。最近の賃金交渉では、ベースアップ要求も1%、当然の権利である定期昇給についても、維持することをお願いするような状況だったから、従業員全体の士気はガクンと低下したまま。今年の春闘を前にしても同じような状態で迎えており、労組不要論まで出かねない雰囲気だった。
「職場討議も低調だったようで、出席率が過半数を超えたところは数えるくらいでしたね。その結果、要求は執行委員会に全面的にまかせる、ということになったわけですから、委員長がおっしゃった自主性についても怪しいものではないでしょうか?」
新米だが山口はなかなか辛辣なことをいう。
「業績、世間相場ともに悲観的な状態だから、仕方がない。もっともリーダーがそんな弱気では困るけどね。昔は大衆団交も辞さずといった熱気があったけど、まさに隔世の感がするなあ」
「大衆団交?聞いたことがありませんね」…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら