【人事学望見】第864回 使用者の労働時間把握義務とは 持帰り残業も黙認は割増賃金が
2012.05.21
【労働新聞】
労働基準法第108条は「使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項および賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払いの都度遅滞なく記入しなければならない」と規定しているが、これが労働時間把握義務の根拠規定である。
自分勝手に支払い不必要
厚生労働省令で定める事項とは、賃金台帳において労働者各人別に「氏名、性別、労働日数、労働時間数、時間外労働時間数、休日労働時間数、深夜労働時間数を記入しなければならない」(労基法施行規則第54条)がそれである。
「労働基準監督官が立入調査に赴いた場合、真っ先に提示を求めるのは、労働者名簿とこの賃金台帳の2つ。これをきちんと調製していないと痛くもない腹を探られることになります。もっとも、ほぼ100%は、時間外割増賃金の支払いのごまかしに通じているから、端からそういう悪質な意図があってのことという背景があると断言できます」
商工会の適正な労働時間管理を進めよう、と題するセミナーの講師に呼ばれた長谷川社会保険労務士が、経験則上の話として披露した。…
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平成24年5月21日第2873号12面 掲載