【人事学望見】第871回 役員専用車の運転者が免許取消し 就業規則上は解雇可能となるが
横森製作所は、創業50周年を迎えるが従業員総数は100人に満たず、社長以下役員3人も同族という典型的な中小企業である。幹部社員10人もほとんど現業関係に配置されている。ただ、この規模でも地場では知名度も高く、それなりの体裁が要求されている。
社長の怒りおさまらない
安全衛生環境課長の守屋は、商工会でもリーダー的役割を示し、今年の全国安全週間でも、例年の如く数社の大会に招かれ、講習を行うほど力量があった。当然、横森社長の信頼は厚く、現業部門では工場長に次ぐ位置付けだった。
そんな守屋に思わぬ災難が降りかかった。騒動を起こしたのは、役員専用車の運転者として他社を退職後8年間勤務している武田である。守屋に相談に来たのは、総務部門のトップである青木部長だった。
「いやあ、弱ってしまったよ。武田さんが運転免許の取消しになってしまったんだ。高齢の役員全員を送迎していたのだから、タクシーの手配など大わらわの状態に追い込まれてしまった。免許取消しというのは、どういう状態なの?」
「この前の講習に備えて調べてみたのですが、かなり複雑です。一般には、過去3年以内の違反点数の累積で取消しになります。それにも2つあり、その期間に免停処分回数なしの者は、累積15点、前歴1回以上は10点以上、2回以上は5点以上、3回以上は4点以上となっていますが、武田さんが免停になったのは聞いたことがありません。なぜ、なったのですか?」…
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