【人事学望見】第874回 勤務地限定社員と転勤命令 労働者の合意がないと発令無理
男女雇用機会均等法では、第2章に「雇用の分野における男女の均等な機会および待遇の確保等」を規定し、第1節で「性別を理由とする差別の禁止等」を設け、具体的な禁止事項を定めている。そして第2節で「事業主の講ずべき措置」を定め、指針で補充している。
人材登用の手段としても
「とくに法第6条第1号の配置・昇進・降格および教育訓練に注目したい。うちの場合、国内各地に事業所を設けているが、慣例として女性社員の場合、勤務地限定で採用し、本人が合意した場合のみ転勤命令を発令する仕組みとなっているが、これまでそうした事例はない。ただし、たとえ地方採用であっても男性社員の場合には、転勤が常態化しており、要員管理の面から女性についても、総合職と同様の力量があれば、幹部社員に登用させたい、というのが会社の基本方針となった」
地方社員も長期勤続がめだち、従来の補助的業務だけでなく、イントラネットを活用して基幹職務の一部をまかせているが、やはりネットだけでは総合商社として人材の有効活用が図れない。幹部会議の席上、2代目社長に就任した大木一郎が女性社員、とりわけ勤続年数が長く商売のノウハウを知悉しているベテランを総合職に格上げして、全国展開するプランを打ち出した。
「しかし社長、地方の女性社員は、勤務地限定の特約がある労働契約を結んでおり、合意を得ない限り転勤は不可能ですよ」
執行役員で人事を統括している三浦人事本部長がクチを挟んだ。…
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