【人事学望見】第1200回 労基法106条と就業規則 周知方法を欠いても効力認める

2019.06.27 【労働新聞】
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 最高裁の見解によると、使用者が労働者を懲戒するには就業規則の定めが必要で、「法的規範としての性質を有するものとして拘束力を生ずるためにはその内容が適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続きが採られていることを要するものというべきである」としている。

労働者側の理解があれば

 フジ興産事件(最小二判平15・10・10)は、労契法制定上のモデル判例となった事案である。

事件のあらまし

 Aは、Y社の設計部門であるエンジニアリングセンターにおいて設計業務に従事していた。

 Y社は、昭和61年8月1日、労働者代表の同意を得たうえで、同日から実施する就業規則を作成し、同年10月1日に所轄労基署へ届け出た。旧就業規則には、懲戒解雇事由を定め、所定の事由があった場合には懲戒解雇をすることができる旨が定められていた。

 Y社は、平成6年4月1日から旧就業規則を変更した新就業規則を実施することとし、同年6月2日、労働者代表の同意を得たうえで同月8日、所轄労基署に届け出た。同月15日その新就業規則の懲戒解雇に関する規定を適用して、Aを懲戒解雇した。…

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令和元年7月1日第3215号12面 掲載
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