【人事学望見】第1201回 試用期間の延長可能か 解雇保護規定から縛りを受ける
2019.07.04
【労働新聞】
試用期間については、一般的に3~6カ月とされているものが多く、1年以上にわたる場合には、正社員に登用せず、不安定な身分のまま雇用することは公序良俗に反するという裁判例がある。では、試用期間中に本採用決定の判断に至らず延長したらどうなるだろうか。
無期限では公序に反する
見習期間の様子をみて本採用してみようというのは中小企業にはありがちなことである。上原製作所事件(長野地裁諏訪支判昭48・5・31)はまさにそのような状況下に置かれていた。
判決の要旨
試用契約の法的性質について検討するに、Y社の就業規則は「従業員に採用された者は、3カ月の試用期間を置く。試用期間中に従業員として不適当と認めた場合には採用を取消すことがある」旨規定している。Y社には、あらかじめ一定の合理的かつ客観的な労働能力に関する適格基準を定めた規定も、試用期間を経て本採用になるについて本採用試験あるいは特段の適格検査等の措置を講ずる旨の規定も存しない。
Y社における試用期間は、従業員を予定した職務に就かせたうえ本採用の従業員としての適格性を有するか否かを判定し、その結果によっては解雇することができるという機能が認められる。
試用期間中の従業員の地位は不安定であるというべく、…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
令和元年7月8日第3216号12面 掲載