【裁判例が語る安全衛生最新事情】第324回 神奈川建設アスベスト第2陣事件② 一部の被災者・被告企業間で責任認める 横浜地裁平成29年10月24日判決
2019.07.09
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
本件は、建築物の新築、改修、解体作業などに従事した作業従事者またはその相続人である原告ら45人(被災者ベース)が、その現場で使用された石綿含有建材から発生した石綿粉じんにばく露したことによって石綿関連疾患(石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水など)にり患したとして被告国と被告建材メーカー企業49社を訴えた事件である。
被告国に対しては、石綿含有建材についての規制権限を有していたとして、それを行使しなかったことをもって、国家賠償法1条1項の責任を求め、被告企業に対しては、石綿含有建材を製造販売していたことが石綿ばく露の原因であったとして民法719条1項前段または後段の共同不法行為の規定により、また、製造物責任法3条により石綿含有建材を製造販売していた企業に対して損害賠償責任を追及した。
前回は、被告国の責任について取り上げた。裁判所は国に対し、規制権限を適切に行使して、事業者に罰則を伴う形式で、呼吸用保護具の「備付け」を義務付けるという安衛則593条の規定を、労働者への同保護具の「使用」を義務付けるという規定に改めるなどの直接的かつ明示的な方法により、労働者による呼吸用保護具の使用を義務付けるべきであったとした。今回は、被告企業らの責任について紹介する。…
執筆:弁護士 外井 浩志
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2019年7月15日第2334号 掲載