【人事学望見】第1203回 中途採用者とうたい文句 解雇権濫用法理のカベ通用せず
2019.07.18
【労働新聞】
新卒者に対しては、企業は社会人としての一歩を歩む前に新入社員導入教育を行うのがふつう。これに対し、中途採用者は、即戦力として活用するために採用するのが前提で、当然のごとく一人前の社会人として遇するのだから、人格・識見ともにめがね違いは許されない。
修復し難い協調性欠如で
協調性の欠如という基本の「き」による解雇が認められたのがメルセデス・ベンツ・ファイナンス事件(東京地判平26・12・9)である。
事件のあらまし
Aは、平成18年9月、それまで21年間にわたって勤務してきた銀行を退職し、Y社に転職してきた。Y社は、自動車・建設機械等の輸出入、売買、ローン提携販売、リース等を目的とする会社である。
Aは、当初、与信業務部のローン資産管理課長代理としてのポストに就き、同21年1月には債権管理部の課長代理に配置換えとなった。その後Aは、遅くとも同年5月ころ以降、「雇用条件違反について」と題する書面をY社に送付するなど、自分が与信審査業務という職種限定で採用された旨の主張をし、元の部門への配置換えを求めていた。平成21年8月、Aは配置換えのごたごたを解決するために東京労働局に対して、あっせんを申し立てた。…
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令和元年7月22日第3218号12面 掲載