【人事学望見】第1204回 労働組合アレルギー 団交権否定は損害賠償に値する
厚労省の調べによると、労組の組織率は年々減少の一途をたどり、16年の確定組織率は17.3%。とくに中小企業のそれは極度に低く、労組慣れが進まない。そのなかで合同労組は独り気を吐いており、駆け込み寺的存在をおそれて労使トラブルは相変わらず続く。
法律上権利ない嫌がらせ
チェックオフなどの便宜供与を廃止するという大人気ない態度を続けていたため、争いになったのは太陽自動車事件(東京地判平21・3・27)である。
事件のあらまし
A労組は、平成13年度の賃金交渉が妥結に至らず、Y会社からチェックオフ、組合事務所(民間アパートの一室)賃料の会社負担等の便宜供与の廃止通告を受けた。その後、Y会社の所属する交通協同組合のあっせんによって賃金協定を締結し、未支給の夏季一時金も支給され事態は収拾した。
ところが、翌年の春闘以降、便宜供与の復活を要求したものの、Y社が応じなかったため、不当労働行為救済を申し立て、民事訴訟で不法行為および債務不履行を理由とする損害賠償請求を提起。東京地裁は便宜供与廃止は不法行為に当たるとして、Y会社に対し200万円の損害賠償を命じ、その後高裁・最高裁もこれを支持し、都労委から不誠実団交の救済命令が出された。
A労組は、Y会社が便宜供与の復活をしないこと、不誠実団交を理由とする無形損害として300万円、組合事務所賃料分279万円の損害賠償を求めた。
判決の要旨
法律上チェックオフの便宜供与を求める請求権を…
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