【ドキュメント!中小企業奮闘記―成果あがる経営・組織改善とは―】第13回 生活給・能力給を実力給へ 複雑さ解消し一本化 評価に応じて高賃金是正も/菊谷 寛之
2012.04.09
【労働新聞】
職能給採用で並存型に
前回は、能力等級と役割等級という2つの等級基準のもとで人事制度の複雑化を招いたZ社(IT系製造業・300人)のケースを取り上げた。
同社とは約半年間の協議を重ね、役割等級への一本化を図るため、賃金・評価制度の改定作業を進めた。賃金については、生活給・能力給・役割給からなる基本給体系をどうリニューアルするかが最大の焦点となった。
生活給に能力給や役付手当を組み合わせる「並存型賃金体系」は、戦後間もなく電力業界労使で合意をみた「電産型賃金」にそのルーツがある。
当時は、インフレによる生活費の上昇にどう対処するか、高度経済成長によるパイをどう配分するかが労使交渉の最大の焦点だった。毎年の春闘賃上げが恒例となる中で、旧日経連は1953年に「定期昇給制度の確立」を唱え、ベースアップの抑え込みにある程度成功する。
前年の賃金に毎年の昇給を積み上げる「年功賃金」の制度的骨格がこの時期に定まった。その前提には、年齢に伴う家族構成や生活費の増大、仕事の熟練度の高まりをカバーする賃金を実現しようという社会的な合意があったといえよう。…
筆者:㈱プライムコンサルタント(www.primec.co.jp) 代表 菊谷 寛之
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平成24年4月9日第2868号13面 掲載