【裁判例が語る安全衛生最新事情】第326回 住宅福祉協会事件 虚偽回答の通報に伴うパワハラを認定 東京地裁平成30年3月29日判決
2019.08.09
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
一般財団法人であるY1住宅福祉協会に勤務している被災者Xは、長年勤務して調査役として、住宅ローン債権の保全、管理、回収、整理並びに団体信用生命保険の保険金請求などの活動をしてきた。平成24年7月1日に、元の上司であるY2とY3が理事に就任した。Y2は、もともとXを心よく思っておらず、Xに対して「辞めろ」「俺はお前を認めていない」などと発言し、XがY2のことを相談していたY3も「お前の態度も悪い」とまともに対応しないという種々の経過があった。
Y1協会は、平成24年12月20日に監督官庁である厚生労働省からY1協会が配当金を調整するために団体信用生命保険の請求時期に調整を行っているとの事実について回答を求められ、調整を行っていない旨の回答をしたが、Xは、平成25年1月中旬ころ、厚労省に回答の内容が事実に反する旨を通報し、厚労省のヒアリングでも時期調整の事実がある旨を回答した。
Y2とY3は、そのヒアリング直後に、Xに対して、「身の振り方を考えてください」「返事がないの、業務命令違反になっちゃうよ」「悪いけど首だよ」などと発言した。そして、Y1協会は、平成25年2月28日に同年3月31日付で懲戒解雇をする意思表示をした。…
執筆:弁護士 外井 浩志
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2019年8月15日第2336号 掲載