【裁判例が語る安全衛生最新事情】第327回 関西ケーズデンキ事件 過重な業務への配転指示で苦痛認める 大津地裁平成30年5月24日判決
2019.08.27
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
原告X1らは自殺した元従業員亡Aの妻(X1)と長男(X2)であり、被告Y1社は、電機製品、石油器具、ガス器具などの修理販売を目的として家電量販店を経営している会社である。被告Y2は、亡Aが勤務していた店舗の店長である。Y2は、亡Aに対して、亡Aが行ってきた不適正なリサイクル値引き、取寄せ部品の勝手な値引き並びに顧客の修理代金の立替払い、自身での配達の3件につき、社内ルール違反であるとして注意書を作成させた。そのうえで、Y1社は、亡Aに対して価格調査業務への配置換えを命じた。
その価格調査業務とは、競合店舗において、展示されている常用商品11品目について、メーカー名、型番、価格を記録する作業を行い、本件店舗に展示している商品・売価と付き合わせながら、調査アイテムを絞り込んだ対象商品リストを作成するというものであり、係る対象商品リストを作成するまでには、おおむね数カ月毎日2~3時間程度競合店舗で価格調査業務を行うことが想定されていた。ところが、亡Aは突然に自殺した。
原告X1らは、Y2が価格調査業務を行わせることは、適正な業務の範囲を超えたパワハラ行為であって、それを強制されて自殺したものでありY2の不法行為とY1社の使用者責任およびY1社の安全配慮義務違反により亡Aが自殺したものとして、損害賠償請求訴訟を起こした。…
執筆:弁護士 外井 浩志
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2019年9月1日第2337号 掲載