【ハラスメント防止法制と企業対応】第10回 加害者の解雇・懲戒処分 権利濫用に注意を 適切な処分心掛ける/岸田 鑑彦
2019.09.05
【労働新聞】
労基法で減給額を制限
パワハラ防止法の制定や昨今世間を騒がせているパワハラ事案をみるにつけ、パワハラ加害者に対して厳しい処分をすべきだとの風潮にある。
しかし、会社は、パワハラ防止や、パワハラ被害者のケアと同様、加害者に対する処遇についても慎重な対応が求められる。加害者に対する解雇や懲戒処分が無効であるとの主張や、いわれのないパワハラ疑惑で処分を受けたことにより精神的苦痛を被ったなど、会社と加害者との間でトラブルに発展することがあるからだ。パワハラ行為に対する懲戒処分が、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利濫用として懲戒処分は無効になる(労契法15条)。会社は、パワハラ加害者を厳しく処分すべきだという風潮に惑わされることなく、事案ごとに適切な処分を心掛ける必要がある。
懲戒処分のうち注意が必要なのが…
筆者:杜若経営法律事務所 弁護士 岸田 鑑彦
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令和元年9月9日第3224号6面 掲載