【人事学望見】第1209回 宿日直勤務と断続的労働 労基署長の甘い判断次々と指摘
2019.09.05
【労働新聞】
宿日直の勤務は、断続的労働の一態様として、所轄労基署長の許可を受けた場合、労基法32条の規定にかかわらず労働者を使用できる。この勤務体系でトラブルが集中しているのは、医師の宿直勤務を中心とした医療業界。医は仁術で逃れようとした顚末を以下に。
割増賃金の逃れ見抜けず
県営病院の産科医が、当直勤務は時間外労働に当たるとして割増賃金を求めたのが奈良県(医師時間外手当)事件(大阪高判平22・11・16)である。
事件のあらまし
県立病院の産婦人科に勤務する医師2人が、宿日直勤務および宅直勤務は時間外・休日勤務であるのに割増賃金が支払われていないとして、割増賃金と遅延損害金の支払いを求めて訴えた。
Y病院はAらに対し、本来の勤務以外に交代で宿日直勤務を命じているほか、Aらを含む病院の産婦人科医師(5人)は、宿日直勤務以外に、自主的に「宅直」当番を定め、宿日直の医師(1人)だけでは対応が困難な場合に宅直医師が宿日直医師に協力し診療を行っていた。
一審の奈良地裁は、まず当直勤務を「断続的勤務」と規定する病院の勤務時間規則について実情に鑑みると労基法41条3号(監視又は断続的労働の場合の適用除外)における除外の範囲を越えるものとして割増賃金の対象と認定した。…
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令和元年9月9日第3224号12面 掲載