【裁判例が語る安全衛生最新事情】第329回 建築工事会社営業職事件 パワハラの言動指導せず使用者責任 名古屋地裁平成29年12月5日判決
2019.09.26
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
被告Y1会社は、主として建築事業や賃貸物件の仲介事業、住宅のリフォーム事業を行う会社である。原告Xは平成24年1月に営業職として入社して、A支店で営業職として勤務していた。
被告Y2は、Y1社の従業員で平成25年2月以降、A支店の営業課長であり、Xの上司であった。Xは、平成25年2月以降、上司Y2から指導教育を受けるようになって、約1年4カ月後の平成26年6月にうつ病になり2カ月間の休養および自宅での療養が必要となり、平成26年10月末にY社を退職した。Xは、Y2の行った行為はパワハラで不法行為であり、その結果としてXはうつ病になって退職を余儀なくされたこと、Y1社は使用者責任を負い、または、安全配慮義務違反があるとして、Y1、Y2に対して損害賠償請求訴訟を提起した。
Ⅱ 判決の要旨
1、Y2の行ったパワハラ行為について
(1)Xが、請負契約締結途中で、客との間でトラブルが発生した2つの契約で、Xが勉強のためにも引き続きその具体的業務を担当したいと希望していたにもかかわらず、Y2は、顧客とのトラブルなどをきっかけとして、事後の具体的な業務をさせず、Xが業務への関与を求めてもこれを拒絶した。さらに、その過程で、…
執筆:弁護士 外井 浩志
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2019年10月1日第2339号 掲載