【努力義務化は目前!? 70歳までの就業機会確保】第1回 “骨太”で方向性決まる 雇用以外も選択が可能 将来的には義務化を検討/内田 賢
法改正で努力義務化
6月21日に政府の経済財政諮問会議の答申、いわゆる骨太方針2019が閣議決定された。内容は多岐にわたるが、「70歳までの就業機会確保」なる項目もあり、閣議決定された答申であることから今後の政策に反映され、企業としても対応を迫られることとなる。ではどのような内容なのか、そして今後企業に求められる制度構築や施策はどのようなものか、これから12回にわたって解説する。
そもそもこのような政策提言が行われたのはなぜか。それはいうまでもなくわが国の少子高齢化や年金財政危機、労働力不足時代への対応が喫緊の課題となっているからである。わが国は総人口が減少し生産年齢人口(15~64歳)の比率が低下する一方で、高齢化率(65歳以上人口割合)は上昇していく。また、厚生労働省が最近発表した簡易生命表によれば、日本人の平均寿命は女性が87.32歳、男性は81.25歳となり、ともに過去最高となった。
年金制度を支える現役世代は少子高齢化によって減少する。受給者は増え、支え手が相対的に減少することから年金財政の安定性が懸念される。公的年金だけでは老後資金が2000万円不足するとされた金融庁報告書が最近話題になったこともあり、高齢期を迎える世代にとって年金だけに依存することのリスクが認識されており、60歳代後半も働いて生計費を賄おうとする高齢者の意識はいよいよ強まると予想される。
人手不足も深刻だ。女性の就業率も高くなり、外国人労働力の受入れ規制も緩和されたが、将来的に労働力不足が経済成長を阻害する恐れがある。そこで高齢者の就業促進も有力な解決策として期待されている。
今般の骨太方針2019に示された内容はわが国の将来的な環境変化への対応の処方箋として提示されたものである。
では、骨太方針2019の内容を詳しくみよう。方針では…
筆者:東京学芸大学 教授 内田 賢
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