【裁判例が語る安全衛生最新事情】第330回 京都建設アスベスト控訴事件① 警告表示の義務付け不行使に違法性 大阪高裁平成30年8月31日判決
2019.10.10
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
本件は、建築物の新築、改修、解体作業などに従事した建築作業従事者またはその相続人である原告ら27人が、その現場で使用された石綿含有建材から発生した石綿粉じんにばく露したことによって石綿関連疾患(石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚)にり患したとして、被告国と被告建材メーカー企業32社を訴えた事件であり、一審の京都地裁(京都地裁平成28年1月29日判決)の控訴審判決である。
被告国に対しては、石綿含有建材についての規制権限の不行使を理由として国家賠償法1条1項の責任を求め、被告企業に対しては、石綿含有建材を製造販売していたことが石綿ばく露の原因であったとして民法719条1項の共同不法行為であるとして損害賠償責任を追及した。今回は、そのうち、被告国の責任について紹介する。
Ⅱ 判決の要旨
1、石綿関連疾患の知見時期
わが国において、石綿粉じんばく露と石綿じん肺発症に関する医学的知見が確立した時期は、昭和33年3月31日ころと認めるのが相当である。
わが国において、…
執筆:弁護士 外井 浩志
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2019年10月15日第2340号 掲載