【人事学望見】第1213回 マタハラと不利益取扱い 軽易業務転換で管理職位を剥奪
2019.10.10
【労働新聞】
職場における妊娠、出産に関するいじめ・嫌がらせをマタニティハラスメントと称することは、ほぼ認知された。その内容には2種類あり、「制度等の利用への嫌がらせ型」と「状態への嫌がらせ型」がそれだが、外国人労働力に依存するなか頑迷な姿勢を改めてほしいところ。
育休復帰後も放置のまま
初めての最高裁判断として注目された広島中央保健生協(C生協病院)事件(平26・10・23)では、妊娠を理由に軽易な業務へ転換させたことを契機として降格させたことが、均等法9条3項の不利益取扱いに当たるか否かで争われた。
事件のあらまし
消費生協Yが運営する病院の理学療法士Aは、妊娠したことから軽易な業務への転換を申し入れた。Yはこれを認めたが、管理職である副主任を免ぜられ、育休後もそのままに置かれた。Aはこの扱いは、均等法で禁止されている妊娠したことを理由とする不利益取扱いに当たるとして、管理職手当の支払い、損害を賠償せよと訴えた。
一審は、副主任を免じたのはAの同意を得たうえでYの裁量権の範囲内で行われたものとし、Aの請求を棄却し、二審の広島高裁も同様に請求を棄却した。
判決の要旨
均等法9条3項の規定は目的および基本的理念を実現するためにこれに反する事業主による措置を禁止する強行規定として設けられたものであり(略)軽易業務への転換等を理由として不利益取扱いをすることは違法である。
本件についてみるに、…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
令和元年10月14日第3228号12面 掲載