【努力義務化は目前!? 70歳までの就業機会確保】第3回 定年年齢引上げ 他社へ移られては損失 まず65歳をターゲットに/内田 賢
2019.10.17
【労働新聞】
引留め策として有効
「骨太方針2019」で2番目に掲げられた選択肢は「70歳までの定年延長」である。60歳以上の定年が認められ、8割の企業が60歳定年の現状であるが、2025年4月には年金支給開始年齢は65歳になる。大企業でも65歳定年制に踏み出すところが増えてきた。「骨太方針2019」が「70歳までの就業機会確保」を打ち出してきた今、「最低でも65歳定年」という社会的要請はいよいよ強まると思われる。
前回紹介した厚生労働省の「高年齢者の雇用状況調査」(平成30年)によれば、65歳以上の定年を定めている企業の割合は表のとおりとなっている。
65歳定年制の企業は大企業で1割弱、中小企業でも2割に満たない。「66~69歳定年」、「70歳以上定年」の企業もほとんどなく、むしろ前回紹介した「定年なし」企業の方が存在感がある。全体でも2割弱しか65歳以上定年を定めていない現状を考えれば、多くの企業にとっては「70歳までの定年延長」の途は遠く、現実的でないだろう。いきなり70歳定年制を考えるのではなく、将来(ただし遠くない将来)の70歳定年実現を見据えてまずは65歳への定年延長を構築することが賢明だ。…
筆者:東京学芸大学 教授 内田 賢
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令和元年10月21日第3229号11面 掲載