【人事学望見】第1217回 追い出しに手段選ばず 倉庫係への配転動機は退職誘導
2019.11.07
【労働新聞】
パワハラ防止法が制定され、来年4月1日から施行される。被害者の自殺事案が後を絶たないことが法制化への後押しとなったようだが、いささか遅きに失した感もあるほど裁判例は枚挙にいとまがない。ここではそのうち「陰湿なケース」を挙げてみよう。
権利濫用で不法行為相当
退職勧奨を拒否した労働者が、仕事のない「窓際部屋」に追いやられ、賃金を半分以下に下げられるまで追い込まれたというのは新和産業事件(大阪高判平25・4・25)である。
事件のあらまし
Aは、大阪市内で化学製品の販売を主事業とするY社に営業職として中途採用された。入社後、新規開拓営業を担当する唯一の営業マンとして10年以上勤務し、一歩ずつ成果を挙げ、その間、昇給・昇格をしてきた。しかし、社長にはっきりと意見を述べる性格が煙たがられ、突如、退職を強要され、営業職から外されてしまった。
その後も2カ月間執拗な退職強要が続いたが、Aは再就職が簡単にできる年齢でなかったこともあって、退職を拒否し続けた。
するとY社は、Aをまったく仕事のない倉庫(追い出し部屋)に配置転換し、賃金も36万円から16万円へと半分以下に減額された。…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
令和元年11月11日第3232号12面 掲載