【社労士が教える労災認定の境界線】第302回 パワハラで脳疾患となり後遺症が残る
2019.11.12
【安全スタッフ】
災害のあらまし
心房細動を治療中のDは、長時間労働に加え、上司のE課長の執拗な叱責によるストレスが原因で血液の凝固を進行させ血栓が形成され、業務時間中に脳梗塞を発症し転倒した。救急搬送され命を取り留めたが後遺症が残ってしまった。その原因は業務に起因するものとして労働者災害補償保険法に基づく休業補償給付を請求した。
判断
脳梗塞の直接的原因であるフィブリン血栓は、高血圧、長時間労働およびストレスがその形成を促進するとされている。本件において時間外労働時間が1カ月80時間超とならないとしてもほぼ同様の時間数であった。これに加えてE課長から1カ月に2回以上執拗に2時間超Dを立たせたまま叱責した事実があり、長時間労働による疲労に一層のストレスを与えたことが業務起因性ありとされ、業務上災害となった。…
執筆:一般社団法人SRアップ21 東京会
髙橋社会保険労務士事務所 所長 髙橋 雅人
◇SRアップ21:www.srup21.or.jp
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2019年11月15日第2342号 掲載