【事故防止 人の問題を考える】第74回 リスクアセスメントとヒューマンエラー(その1)
2019.12.10
【安全スタッフ】
想定を上回った災害の被害を教訓に
10月12日に上陸した台風19号は、関東、甲信越、東北など、広範囲に被害をもたらしました。長野県では千曲川の氾濫で新幹線車両センターが浸水し、報道によると、そこに停車していた車両120両が水に浸かり、車内の座席上まで水位が上がり、床下にあるモーターやブレーキ制御機器なども水に浸かったと見られ、最悪の場合は廃車となる可能性もあるとのことでした。
関係者の話によると、この車両センターの建設時には、千曲川氾濫による浸水想定(浸水想定区域、浸水深さなど)に基づき、盛土などによる浸水対策が施されましたが、今回はその想定を上回る浸水深さとなり、車両が水に浸かる事態となりました。
自然災害から構造物を守るため、構造物を設計する際、確率降水量、河川浸水想定などに基づき、それらに耐えられるように設計が行われますが、今回の台風による甚大な被害から、それら設計基準が、時代とともに揺らぐ可能性があることを学ぶ必要があります。
対策を講じればリスクは0になったと安心するのではなく、たとえ対策を講じても、その時点では想定できないリスクが残り、時にそれは、かなりの大きさになるおそれがあることを、今回の大災害からの教訓にしなければなりません。
リスク低減措置は事業者の努力義務
昭和47年に施行された労働安全衛生法は…
執筆:労働安全衛生総合研究所 安全研究領域長 高木 元也
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2019年12月15日第2344号 掲載