【事故防止 人の問題を考える】第75回 リスクアセスメントとヒューマンエラー(その2)
2019.12.26
【安全スタッフ】
新年を迎え、新たな気持ちで
令和最初の新年を迎えました。今年も労働災害の撲滅を祈念します。
家族や仲間の笑顔があふれる時は、この上ない幸せが訪れます。しかし、その笑顔は、突然の労働災害により、一瞬にして奪われてしまいます。
労働災害のない職場をいかにつくり上げるか。その答えは、必ず安全な職場をつくるという信念をもち、その信念の下、日々の地道な安全活動を積み重ねる。このことに尽きると思います。
和歌山で足場材が落下する災害
昨年の11月19日、和歌山市内で、ビル屋上付近での足場解体作業中、長さ1.5m、重さ約5kgの単管パイプが落下し、地上の歩行者に激突した痛ましい死亡災害が発生しました。
信じられないことに、その足場解体作業では、その4日前にも単管パイプを落としていました。報道によると、落下の原因は、単管パイプを固定するクランプが緩んでいたためで、工事業者は、ビルの管理会社に対し、クランプに緩みがないか点検すること、落下防護ネットの設置、単管パイプに落下防止用ロープの取付けなどの安全対策を徹底することを申し出て、工事を再開したようです。しかし、再度、単管パイプを落としてしまいました。作業員が「誤って落としてしまった」と供述したそうです。申し出た安全対策はしっかり行われていたのでしょうか。
足場材の落下による災害で思い出されるのは、…
執筆:労働安全衛生総合研究所 安全研究領域長 高木 元也
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2020年1月1日第2345号 掲載