【厚労省労働政策審議会労働政策基本部会】技術革新に合わせて働き方の変化を AI導入で生産性向上 人口減少社会支え
労働政策審議会労働政策基本部会(守島基博部会長)は、働く人がAIなどの新技術を主体的に活かし、豊かな将来を実現するための方策を提言した報告書をまとめた。AIなどの積極的な活用によって、労働生産性の向上と人口減少に伴う労働力不足への対応を期待している。懸念される仕事の減少に関しては、スキルアップや働き方の変化にどのように対応していくかが課題とした。労働者のプライバシー保護や個人情報のセキュリティーを適切に扱い、AIなどを有効かつ安全に利用できる社会を構築する必要性を訴えた。
1 質の高い労働の実現のためのAI等の活用
(1)人口減少の中でのAI等の積極的な導入の必要性
日本の人口は、近年、減少局面を迎えている。今後の人口構成については、団塊の世代が75歳以上となる2025年以降、65歳以上人口の増加は緩やかになる。一方、出生率の低下を背景に、15歳から64歳層の人口は、団塊ジュニア世代が65歳以上となる2040年頃に向けて減少が加速すると見込まれている。こうした諸外国にも例を見ない人口構造の変化の中で、社会経済の活力を維持・向上することが重要な課題となっている。
一方で、AI等が進展する中、日本では、その社会実装を進めることで、「Society5.0」の実現がめざされている。AI等は、従来の大量生産・大量消費型のモノ・サービスの提供ではない、個別化された製品やサービスの提供を通じて、個々のニーズに応えることを可能とし、これにより様ざまな社会課題の解決や大きな付加価値の創出につながるものである。そのため、AI等を人間が使いこなすことが可能となれば、人間の創造性が拡大し、その生活の質とともに労働生産性を向上させることも可能となり、さらに、高齢者、障害者、育児・介護を行う労働者等、働くことに制約のある多様な人材に活躍の場をもたらす効果も期待できる。
今後加速する人口減少の中で、経済成長の制約要因となる労働力不足に対応するとともに、労働条件を改善し、一人ひとりの労働者にとって職業生活を実りあるものとし、さらには社会全体でディーセント・ワークの実現をめざすためには、AI等の活用が不可欠である。
(2)就業構造の変化に対応したAI等の導入
今後の技術革新の動向を織り込んだ展望として、…
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