【人事学望見】第1228回 三六協定と残業義務 就業規則等の裏付けで業務命令
2020.02.06
【労働新聞】
今年4月から、中小企業にも時間外労働の上限規制(原則として月45時間、年360時間)が適用される。働き方改革に取り組む連合は3月6日を「36(三六)協定の日」として記念日の登録を果たした。改正労基法の施行に向けて、盛り上がりは確かなようだ。
応じないと懲戒処分可能
小紙ニュース欄では、三六協定違反に伴う送検事例が、しばしば登場しているが、肝心の主役(使用者)の意識改革は遅々として進んでいないようにみえる。三六協定をめぐる代表的な判例といわれているのは、日立製作所武蔵工場事件(最一小判平3・11・28)である。
事件のあらまし
原告労働者Aは、Y社の工場で製品の品質管理業務に従事していた。Aは、上司から、製品の良品率が低下した原因の究明と手抜き作業のやり直しを行うために、残業をするよう命じられたが、これを拒否した。
これに対して、Y社はAを出勤停止の懲戒処分に処し、始末書の提出を命じたが、Aは残業命令に従う義務はないという考えをいっこうに改めなかった。…
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令和2年2月10日第3244号12面 掲載