【裁判例が語る安全衛生最新事情】第338回 コンチネンタル・オートモーティブ事件 主治医の診断書の信用性認めず 横浜地裁平成29年6月6日判決
2020.02.12
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
被告Y社は、自動車部品の開発・製造・販売などを行う会社である。
Xは、Y社に平成24年2月に期間を定めないで採用され、子会社に出向という形で勤務していた。Xは、平成24年4月から同年7月にかけて恒常的な長時間労働をさせられたほか、上司Bからの過大な翻訳業務の命令や、上司Bから名誉毀損の発言、社内メールにより適応障害を発症したと主張した。さらに、本訴以前にXが前訴において、プロジェクトのメンバーから外されたことがパワーハラスメントの不法行為に該当するとしてY社および上司Bに対して損害賠償訴訟を提起していたが、その前訴および本訴において、事実に反してXのことを悪く主張したことはXの名誉を毀損し、侮辱したと主張し、これらは不法行為であり使用者責任に基づき、Y社に対して慰謝料などの請求をした。
併せて、Xは、Y社が平成26年10月29日の経過をもってXの適応障害による休職が休職期間満了として自然退職扱いにしたことは、そもそも業務上の疾病であるし、また主治医による診断書で復職可能と記載されているのに、それを無視した復職不可とする取扱いは無効であると主張して、Y社に対して労働契約上の地位の確認などを求めた。
Ⅱ 判決の要旨
1、名誉毀損の主張
Xは、Y社従業員である上司Bが、多数の従業員の勤務するセンタービル○階のフロアにおいて、…
執筆:弁護士 外井 浩志
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2020年2月15日第2348号 掲載