【社労士が教える労災認定の境界線】第308回 出張先で飲酒し、ホテル内階段で転倒
2020.02.12
【安全スタッフ】
災害のあらまし
Aは、株式会社Xに20年勤務するベテラン営業マン。ある日、Aは部下2人とともに、1泊2日の予定で出張し、1日目の業務終了後の夜に、取引先から接待を受けた。その後、宿泊予定のホテルへと向かった。Aは、アルコールが入っていたこともあったせいか、ホテル内の階段を歩行中に転倒し、頭部を強く打撲した。そのときは直ぐに起き上がり「大したことないから」と部屋に入ったため、医療機関などへ行くこともなかった。しかし、この頭部打撲が原因で、Aは約5週間後に急性硬膜外血腫で死亡した。
判断
Aの飲酒行為は、業務と全く関連のない私的行為や恣意的行為あるいは業務遂行から逸脱した行為によって自ら招いた事故ではないと判断。出張に伴う危険が現実化したものとして、相当因果関係が認められ、業務上の災害となった。
解説
業務災害として認められるには、「業務遂行性」と「業務起因性」のどちらも有することが前提となる。「業務遂行性」とは、…
執筆:一般社団法人SRアップ21 東京会
アイアンストライカーズ社会保険労務士法人代表社員 濵本 絵美
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2020年2月15日第2348号 掲載