【企業経営と固定残業代制度】第6回 歩合給との関係~国際自動車事件~ 率でなく金額の明示を 「時間外平均値」計算して/横山 直樹
2020.02.13
【労働新聞】
歩合給とは、一定期間の稼働による売上高などに一定の歩合を乗じた金額を給与として支払う、いわゆる出来高払制(労基法27条)の一種である。これにおいても時間外労働を行った場合は、割増賃金(労基法37条)の支払い義務がある。もっとも、賃金単価を算出する際、所定労働時間数ではなく総労働時間数で割る(労規則19条1項6号)、割増率は1.25ではなく0.25で足りる点において、歩合給と評価されると割増賃金の額が固定給に比して相当低くなるため、訴訟などでは一定の手当などが、「歩合給」なのか「月給などの固定給」なのかが争点になる例が多い。
業績手当などの名称で賃金の一部を歩合給として設定している場合は、同手当が固定給でなく歩合給と評価されると上記のように1時間当たりの単価が下がるため、成果によって金額が決定されているか、成果以外の要素で決定されていてもあくまでも主要な要素は成果かなどを調査し、歩合給の性質を有するかの検証が必要である。
歩合給の一部を歩合給中から割合(率)で固定残業代として支給する場合がある。しかし、…
筆者:石嵜・山中総合法律事務所 弁護士 横山 直樹
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令和2年2月17日第3245号11面 掲載