【人事学望見】第1230回 内定時と異なる初月給 見込額は明示義務に違反しない
2020.02.20
【労働新聞】
求人票に記載された基本給等の金額は、入社後に支払う賃金の見込額であり、入社時までに最終決定される初任給の目標数値と解される。ただ賃金は重要な労働条件の1つであり、会社が社会的に非難されるほど求人票記載の見込額を著しく下回る額で決定することは許されない。
著しい低額 信義則違反!?
労基法15条2項には、労働契約締結時に明示された労働条件と実際の労働条件が異なる場合には、労働者は労働条件を解除できると規定されている。求人票記載の初任給は石油ショック当時の経営状況が背景にあり、決定初任給が求人票記載の額を下回ったとしても、社会的に非難されるほどの信義則違反とはいえないとされた八州事件(東京高判昭58・12・19)はモデル判例ともいえる。
事件のあらまし
新規学卒者であるAらが、入社後に実際に支払われた賃金が「求人票」に記載されていた賃金よりも低かったとして、実際に支払われた賃金と「求人票」との差額の支払いを求めたところ、第一審がAらの請求を棄却したため、控訴となった。…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
この連載を見る:
令和2年2月24日第3246号12面 掲載