【企業経営と固定残業代制度】第7回 同意との関係~ビーダッシュ事件~ 企業に厳しい判決続く 情報提供して同意取得を/横山 直樹
2020.02.20
【労働新聞】
国際自動車事件以降、固定残業代の有効性を肯定する事案が増えたためか、固定残業代は不利益変更(労働契約法10条)の点からも争われる事案が増えてきた。入社後に制度が導入されたような場合は不利益変更の問題になる。一方、導入後に入社したケースでは、合理性(労契法6、7条)の問題になるが、これは同法10条に比して有効性のハードルが低いためか争点として主張している事案は少ない。
内訳の調整では「有効要件」高い
固定残業代の導入自体は、割増賃金の計算方法を労基法37条によるものから業務の繁閑を問わず、一定額を保証するものに変えるだけなので不利益変更には該当しない。それに該当するのは、従前支給されていた賃金を切り出して固定残業代にするからだ。
たとえば、企業において賃金原資を新たに設け、基本給や他の手当の金額を変えず固定残業代を新設する際は、不利益変更には該当しない。他方、総額人件費を変えずに、…
筆者:石嵜・山中総合法律事務所 弁護士 横山 直樹
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令和2年2月24日第3246号11面 掲載