【裁判例が語る安全衛生最新事情】第339回 富士機工事件 入社後すぐの自殺で予見可能性否定 静岡地裁浜松支部平成30年6月18日判決
2020.02.26
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
亡Aは、知的障害および学習障害を持っていたが、高校卒業後、障害者採用の枠で被告Y社に入社した。原告X1、X2は、その両親である。被告Y社は、自動車部品の製造・販売を業とする会社である。
亡Aは、平成26年4月1日にY社に入社し、同月9日まで新入社員教育を受けたが、同月10日よりプレス課に配属され、同月10日~13日まで金属加工のためのプレス作業における安全教育を受け、同月15日から同月25日まで、工場内で製品の確認・梱包作業の実習を行った。同月26日から5月5日までのゴールデンウイークに伴う休みを経て、亡Aは、同年5月6日から、金属加工のためのプレス機械を使用しての実習を開始した。その後、亡Aが操作していたプレス機が停止する事態が生じた。その翌日の午前7時ごろ、亡Aは自宅の最寄り駅である駅のホームから貨物列車に飛び込み、自殺した。
両親である原告X1、X2は、亡Aの自殺はY社の安全配慮義務違反または注意違反が原因であるとして、Y社に対して損害賠償請求訴訟を提起した。
Ⅱ 判決の要旨
1、使用者の安全配慮義務または注意義務
使用者は、…
執筆:弁護士 外井 浩志
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2020年3月1日第2349号 掲載