【人事学望見】第1232回 稼働率向上へ何もかも 法令で保証された権利侵害ダメ
2020.03.05
【労働新聞】
年休権の発生要件である「出勤率80%以上」というのは良く知られている。この拡大解釈として稼働率80%以下の者を賃上げ対象から外してしまうという荒療治に出た企業がある。年休・産休・労災休業・ストによる不就労とてんこ盛り。それが労働協約になってひと波乱に。
労働協約化 産休やストも
日本シェーリング事件(最一小判平元・12・14)がそれである。
事件のあらまし
Aらは、Y社の従業員および元従業員だが、いずれもE労組の組合員である。Y社は、昭和49年度以降経営状況が悪化してきたが、その一因は従業員の稼働状況にあるという認識に基づき、稼働率向上の方策は労働協約化することにあるとの結論に至った。
同51年4月、労組に対し賃金引上げ額の回答提示に当たり、「80%条項」の受諾を求めた。E労組はこれを拒否し、引き続き団交を求めたが、Y社は条項の協約化という既定方針を譲らず、受諾しなければ賃上げ団交にも応じないという強硬手段を取った。やむなく労組は同条項を含む賃上げ協定の締結に折れた。…
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令和2年3月9日第3248号12面 掲載