【企業経営と固定残業代制度】第10回 労働時間管理 調査して時間数決定を 合意基礎付ける事実に/横山 直樹

2020.03.12 【労働新聞】
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 訴訟で固定残業代制の有効性を否定されず、かつ労基法37条の不払いがないようにするには、企業における労働時間の調査とその固定残業代制度への反映の繰返しが必須である。

 固定残業代は、労基法37条の割増賃金の支給であるので、時間を金額に引き直した場合に同条の金額と、固定残業代の額の乖離が大きいと対価としての性質が弱くなる、換言すれば他の性質を持つことが推認されかねない(別掲①~⑥)。

訴訟に備え記録として保存せよ

 時間外労働時間数を調査のうえ、固定残業代の時間数を決定した事実は固定残業代の合意の存在を基礎付ける事実となる。さらに、恒常的に時間外労働時間が発生する層と発生しない層に分けて、前者だけを固定残業代を設定する事実も固定残業代の合意の存在を基礎付ける事実になると解されている。

 アクティリンク事件(東京地判平24.8.28労判1058号5頁)では、売買事業部(営業部)の従業員に支給されていた営業手当について、当該企業では、他の部(業務部)の従業員も時間外労働をしているにもかかわらず同種の手当が支給されていないことを1つの根拠に、営業手当が時間外労働の対価ではないと判断した。…

筆者:石嵜・山中総合法律事務所 弁護士 横山 直樹

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令和2年3月16日第3249号11面 掲載
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