【日本に馴染む職務型人事賃金制度】第19回 テーマ別導入・運用事例(1) 管理職数肥大化防ぐ 統合時の制度改定 人財活性が成否分ける/加藤 守和
2020.05.21
【労働新聞】
M&A重ねポスト乱立
今回から4回にわたり、職務型人事制度を導入・運用している企業の事例をもとに解説をしていきたい。
職務型人事制度といっても、目的や内容は企業によって異なる。そのため、各回でテーマを掲げ、その背景や内容についてテーマに沿って解説していく。今回、取り上げるテーマは「管理職数の肥大化」と「職責と報酬の不整合」である。
ある大手通信系企業では、過去に何度か買収や統合を繰り返していた。M&Aは、自社にない製品・サービス・技術などを素早く手に入れる優れた経営戦略である。しかし、決して簡単ではなく、期待した効果が得られずに苦戦する会社も多い。失敗の主な理由は「取引のパラドクス」にある。
取引前の企業価値評価の90%は有形資産(マーケットシェアや財務諸表、保有技術等)によってなされ、無形資産(企業文化やブランドロイヤリティ、リーダーシップなど)は10%に過ぎない。一方で、取引後の成否を分ける鍵は、無形資産が90%を占める。人財の活性化がM&Aの成否を分けるといっても過言ではない。…
筆者:コーン・フェリー・ジャパン㈱ シニア プリンシパル 加藤 守和
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令和2年5月25日第3258号13面 掲載