【日本に馴染む職務型人事賃金制度】第21回 テーマ別導入・運用事例(3) 個々の責任明らかに 組織動かし生産性向上へ/加藤 守和
2020.06.04
【労働新聞】
経営陣で危機意識共有
今回は、「マネジメント力強化」と「生産性向上」をテーマとして取り扱いたい。
職務型人事制度の重要なポイントは、職責を明らかにし、その職責に見合った報酬で報いることである。これは、会社と個人の「契約」という概念に近い。
日本企業において、「契約」という概念は今まで曖昧にされてきた。メンバーシップ型雇用とも称されるが、会社と社員の関係が契約関係ではなく、仲間や家族のように取り扱う関係であった。
この会社と個人の関係は、会社全体が右肩上がりの局面では非常に大きなパワーを発揮した。社員が一丸となって、相互に協力し合いながら、目標達成に向けて邁進することで、日本企業は高度成長の時代を勝ち抜いてきた。しかし、先行き不透明な経営環境下では、同じようにはいかない。個々人が自ら果たすべき職責をしっかりと果たしたうえで、相互に協力し合う高い自律性が求められる。
ある中堅精密機器メーカーを事例として紹介したい。同社は典型的な日本企業であり、職責が曖昧であった。社長は先行きが不透明な経営環境のなかで、海外工場への生産移管や…
筆者:コーン・フェリー・ジャパン㈱ シニア プリンシパル 加藤 守和
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令和2年6月8日第3260号13面 掲載