【人事学望見】第1244回 休憩時間の自由利用原則 施設管理権を侵すか否かで判断
2020.06.04
【労働新聞】
労基法では、休憩時間中の労働者の行動に制約を加えることを禁じており、電話当番や接客を課した場合には、労働時間として取り扱わなければならない。ただし就業規則によって政治活動等が禁じられている場合には、それらの行動は職場秩序違反を問われる可能性もある。
政治ビラが平穏状態壊す
次の事案も、職場でベトナム戦争反対などの政治活動が活発に行われていたころのお話。電電公社目黒電報電話局事件(最三小判昭52・12・13)を振り返ってみよう。
事件のあらまし
Aは、「ベトナム侵略反対、米軍立川基地拡張阻止」と書かれたプレートを着用して勤務していたところ、これを取り外すよう上司から再三注意を受けた。Aはこの上司命令に抗議する目的で、「職場の皆さんへの訴え」と題したビラ数十枚を、休憩時間中に職場内の休憩室と食堂で配布した。
Y公社の就業規則には、「職員が職場内で演説やビラ配布等を行う場合には、事前に管理責任者の許可を受けなければならない」という内容の規定があり、Y公社はAのビラ配布が就業規則に違反し、懲戒事由に該当するとしてAを戒告処分に付した。Aは、ビラ配布を懲戒処分の対象にすることは、労基法34条3項の定める休憩時間の自由利用の原則に違反するなどと主張して提訴した。一審はAの請求を認容し、原審もY公社の控訴を棄却、Y公社は上告した。…
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令和2年6月8日第3260号12面 掲載