【裁判例が語る安全衛生最新事情】第347回 ビーピー・カストロールほか事件 1時間以上の注意パワハラと認めず 大阪地裁平成30年3月29日判決
Ⅰ 事件の概要
被告Y1会社は、自動車用潤滑油の輸入・販売を目的とする会社であり、原告Xは、平成22年3月にY1社に入社した者である。Xは、Y1社のコンシューマー事業部のA支店に配属され営業部の従業員であったが、そのA支店の支店長は被告Y2であった。A支店の従業員は4人であり、月に1度、会議が行われていた。Xが主張するには、Y2によるパワハラ行為が数多く行われ、その結果、Xは平成26年9月1日にクリニックで受診したところうつ病との診断を受けた。
それで、Xは、平成26年10月21日から療養休暇を取得し、平成27年1月14日から復職のためのリハビリ勤務を開始し、同年2月1日に復職した。しかし、Xは平成27年4月14日に、再度うつ病と診断され、同年5月21日まで年次有給休暇を取得した。さらに、同年5月22日から同年10月12日まで休職となり、休職期間が延長され、休職期間の最終日は平成28年5月21日となった。しかし、その後もXは復職せず、自宅勤務扱いにするようにY1社に要求し、そのまま出勤しなかった。Y1社は平成29年1月23日に、無断欠勤を理由に同年2月28日付で普通解雇した。
原告Xは、解雇は無効であることを主張するとともに、Xのうつ病り患はY2のパワハラが原因であるので、Y2の不法行為とY1社の職場環境配慮義務違反として損害賠償請求訴訟を提起した。
Ⅱ 判決の要旨
1、パワハラと主張される行為
以上認定したところによれば、①Y2が月に一度の月例会議におけるXのプレゼンテーションに対して、…
執筆:弁護士 外井 浩志
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