【人事学望見】第1249回 複雑な降格処分の行方 課長職から受付担当とはひどい
2020.07.09
【労働新聞】
「降格」とは、職位(役職)または職能資格を低下させることをいう。人事権行使としての職位引下げは、就業規則等に明確な根拠規定がなくともなし得るが労働契約上、職位が限定されている場合にはそれを下回る降格を一方的に行うことはできない。
裁量の範囲逸脱したもの
課長職から課長補佐職相当、さらに受付担当業務にまで降格して訴えられたのは、バンク・オブ・アメリカ・イリノイ事件(東京地判平7・12・4)である。
事件のあらまし
Yは、アメリカに本社を有し、東京、大阪に支店を有する。Aは、昭和27年から勤務していたX銀行が昭和39年にYに買収されたが、引き続き雇用された。昭和47年1月総務課課長に昇格したものの、在日各支店は同53年以降ずっと赤字基調にあって、首脳部は管理職らに新経営方針の理解と協力を求めたがAを含め積極的でなく、このため、Yは57年にAらを降格させた。
課長補佐職に降格されたAは、61年には総務課の受付業務や備品管理・経理支払い事務に配転され、平成2年に人員縮小を理由に解雇された。そこでAは課長補佐職への降格から受付配転に至る一連の行為は、Aを退職に追い込む意図をもってなされた不法行為である、と慰謝料の支払いを求めた。…
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令和2年7月20日第3265号12面 掲載