【人事学望見】第1251回 計画年休めぐるトラブル 労使協定に反対の労働者も拘束
2020.07.23
【労働新聞】
労使協定によって、個々の労働者の有給休暇取得日があらかじめ特定されると当該年休日については、一人ひとりの労働者の時季指定権と使用者による時季変更権が失われる。労使協定の効果は、反対労働者を含めその職場のすべての労働者に及ぶ。
勝手に休み賃金をカット
計画年休をめぐるモデル裁判例といわれているのは三菱重工業長崎造船所事件(福岡高判平6・3・24)である。
事件のあらまし
造船業を営むYは従業員の98%で組織するZ組合と締結した協定に基づいて、Z組合員ではない管理職者も対象として年休のうち2日分を夏期一斉休暇として実施してきた。
その後、昭和63年の労基法改正をきっかけに、すべての従業員を対象として、平成元年7月25日と26日の2日間を計画年休とする労使協定をZ組合と取り結んだ。
Yは、少数組合のX組合とも同じ内容の協定を結ぼうと話し合ったが、結局、合意には至らなかった。そこで、年休に関する就業規則に「計画年休」の規定を新しく作ることとした。
このような状況の下で、少数組合のX組合に所属する第一審(長崎地裁)原告の労働者Aは、平成元年6月27日および28日に年休を取得して勤務しなかった。…
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令和2年8月3日第3267号12面 掲載