【裁判例が語る安全衛生最新事情】第350回 日本総合住生活ほか事件② 二丁掛け指示せず墜落で過失5割に 東京高裁平成30年4月26日判決
2020.08.11
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
被災者である原告X1は植木職人であり、Y3社に雇用されていた。原告X2はX1の妻である。独立行政法人都市再生機構(UR)は、団地内の植物管理工事をY1社に請負わせ、Y1社はY2社に下請発注し、Y2社はY3社に孫請発注していた。Y4は、Y3社の代表者である。
X1は公団団地の維持管理業務として、樹木伐採や剪定作業をしていたが、高さ13mある欅の樹に登って基本剪定作業をしていたが、安全帯を使用していたものの、一丁掛けであり、二丁掛けの安全帯を使用していなかった。そして移動中は安全帯を外していたが、欅の樹から転落して頸椎損傷の重症を負い、四肢麻痺の後遺症が残った。Xは、Y1社~Y3社の安全配慮義務違反、Y4に不法行為に基づく損害賠償請求を行った。
一審判決は、Y4の不法行為責任とY3社の会社法350条による責任を認めて、賠償額は総額約8979万円と1カ月ごとの看護・介護費の定期金賠償金であったが、Y1社、Y2社の責任を否定した。X1ら、Y3社、Y4らは控訴したが、本判決はその控訴審判決である。…
執筆:弁護士 外井 浩志
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2020年8月15日第2360号 掲載