【人事学望見】第1252回 自宅待機命令の有効性とは 賃金保障すれば2年間放置も可
2020.08.06
【労働新聞】
自宅待機命令は、懲戒処分である出勤停止とは異なり、使用者の業務命令によって行われる。労働者には就労請求権がないため、使用者が賃金を支払う限り、就業規則等に明示の根拠がなくても自宅待機命令を出すことができる。懲戒事由の有無の調査で発出するケースが多い。
信用毀損を恐れての措置
上司から当分の間自宅で待機してほしい、という業務命令が出されたがそれが2年間という長きにわたって続けられたというのはネッスル事件(東京高判平2・11・28)である。
事件のあらまし
食料品の製造販売を業とするY社でセールスマンとして勤務していたA(妻帯者)は、Y社に派遣されていた訴外Bと交際するようになった。Aにはかねてから交際中のCがおり、Bとの関係を知ったCはY社、AおよびAの勤務する出張所長Dらを脅迫するに至り、加えてAを誹謗中傷する文書がY社の取引先に出回った。そこで、DはAに対し、口頭で「当分の間自宅で待機してほしい」と通告した。
Dはその理由について何ら説明せず、…
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令和2年8月10日第3268号12面 掲載